働きながら特別区(東京23区)や東京都、県庁・市役所の経験者採用(社会人採用)を受ける方から、次のような相談をよく受けます。
- 「面接の練習を、どこでしたらよいのか分からない」
- 「練習相手がいないうえに、職場には知られたくない」
- 「ハローワークの模擬面接で足りるのか」
結論から申し上げると、面接の練習は、一人での練習で土台を作り、仕上げは必ずプロに見てもらってください。
理由は、経験者採用が面接で落とされる試験だからです。横浜市の社会人採用【春実施枠】(令和8年度・事務)では、筆記(SPI3)を通過してプレゼンテーションと面接に進んだ104人のうち、最終合格はわずか19人でした。
面接の段階に進んだ人の8割以上が落とされる試験に、自己流の練習だけで臨むのは危険です。
この記事では、面接の練習ができる場所と使い分け、プロに見てもらうべき理由、専門予備校の講座と単発の模擬面接の選び方、ハローワークの使い方をご案内します。
あわせて、一人でできる練習の手順と、練習を始める時期・回数まで解説していきます。面接までの準備の計画を立てる手引きとして、ぜひ最後までお読みください。
この記事でわかること
- 公務員の面接練習ができる5つの場所と、使い分け方
- 面接をプロに見てもらうべき3つの理由
- 専門予備校の講座・単発の模擬面接・ハローワークの使い方
- 一人でできる練習の手順と、練習を始める時期・回数
公務員の面接練習はどこでできる?5つの場所と使い分け
面接の練習ができる場所は、大きく5つあります。土台づくりは一人とハローワークで、仕上げは経験者採用に詳しいプロの模擬面接で行うのが基本です。
| 練習の場所 | 費用 | 経験者採用の評価の観点に沿った指摘 | 向いている使い方 |
|---|---|---|---|
| 一人(録音・録画) | 無料 | 得られない | 毎日の土台づくり |
| 家族・知人 | 無料 | 得にくい | 人前で声に出して話す練習 |
| ハローワーク | 無料 | 公務員試験の専門ではない | 受け答えの基本の確認 |
| 専門予備校の講座 | 有料 | 得られる | 書類・論文から面接まで通して鍛える |
| 単発の模擬面接サービス | 有料 | 得られる | 本番前の仕上げ、弱点の確認 |

無料の場所だけで練習を終えてしまう方もいます。しかし、無料の場所で得られるのは「話すことに慣れる」ところまでです。
面接官が何を見て点を付けるのか、その観点で指摘してくれるのは、経験者採用を指導しているプロだけです。次の節で、その理由を詳しく見ていきましょう。
面接はプロに見てもらうことが大事:理由は3つ
面接の練習でいちばん大事なのは、プロの目を入れることです。自己流の練習だけでは、面接官が見ている点を外したまま本番を迎えることになります。
プロに見てもらうべき理由は、次の3つです。
- 自分の話し方の癖は、自分では見えない
- 評価の観点と深掘りの流れを知っている人でないと、面接官の役が務まらない
- 職務経歴書や面接カードと、面接での答えの食い違いを点検してもらえる
1つ目は、話し方の癖です。結論が最後まで出てこない、話が長い、目線が落ちるといった癖は、録画を見ても自分では気づきにくいものです。
2つ目の理由は、評価の観点にあります。特別区の受験案内は、面接で「人物、職務経験及び職務に関連する知識等」を見ると定めています。
口述試験(人物、職務経験及び職務に関連する知識等についての個別面接)
出典:特別区人事委員会「令和8年度 特別区(東京23区)職員 経験者採用試験・選考案内【秋試験】」
家族や知人に面接官の役を頼んでも、この観点で点を付け、職務経歴書から深掘りしてくれるわけではありません。経験者採用の面接を知るプロだからこそ、本番と同じ角度で質問し、どこで点を落としているかを指摘できます。
3つ目は、書類との一貫性です。申込のときに書いた職務経歴書と面接の答えが食い違うと、それだけで信頼性を疑われます。プロに書類を読んでもらったうえで模擬面接を受ければ、この食い違いを本番の前に直せます。
一度も人に見てもらわないまま、本番の面接を迎えるのは、最も避けたい準備の仕方です。
専門予備校の講座で鍛える:書類・論文から面接まで一貫して見てもらえる
時間に余裕があるなら、専門予備校の講座で鍛えるのが最も確実です。経験者採用に特化した専門予備校の講座なら、書類・論文の段階から面接まで、同じ講師の目で一貫して鍛えられます。
予備校の講座のよいところは、面接の練習が書類や論文とつながっている点です。職務経歴書を添削してもらい、その内容をもとに深掘りの模擬面接を受ければ、書類と答えの食い違いが起こりません。
例えば、社会人採用の専門予備校のGravityは、特別区経験者採用の講座を、論文対策と面接対策を徹底して行う講座として案内しています。講座の内容や受付の状況は、各予備校の公式サイトで確かめてください。
予備校の講座を選ぶときは、次の4点を確かめましょう。
- 経験者採用(社会人採用)の受験者を指導しているか
- 受験先の評価の観点に沿って講評してくれるか
- 職務経歴書や面接カードを読んだうえで、深掘りの質問をしてくれるか
- 模擬面接を、指摘を直したあとにもう一度受けられるか
新卒向けの講座の模擬面接は、学生を想定して作られています。新卒向けの講座の模擬面接だけで準備を終えると、本番で職務経験を掘り下げられたときに答えに詰まります。
単発の模擬面接を使う:予備校に通わない人も本番前に必ずプロの目を
予備校に通う時間がない方や、ここまで独学で準備してきた方もいるはずです。その場合も、本番の前に、単発の模擬面接で一度はプロに見てもらってください。
模擬面接だけを1回から受けられるサービスもあります。例えば特別区を受ける方なら、特別区専門予備校のプロコネクトのように、オンラインで模擬面接を1回から受けられるところがあります。
単発の模擬面接を受けるときは、次の準備をしておくと、1回から得られるものが大きく変わるはずです。
- 受験先の受験案内と、提出した職務経歴書・面接カードの控えを用意する
- 特に不安な質問を、事前に2〜3個伝えておく
- 講評をその場でメモし、録画が許されていれば録画する
- 指摘された点を直し、本番の前にもう一度受ける
単発の模擬面接は、自分の弱点を短い時間で見つけるための手段です。指摘を受けたら終わりではなく、直したうえでもう一度確かめるところまでを一続きの準備と考えましょう。
ハローワークで面接練習はできる:在職中も無料。ただし公務員試験の専門ではない
ハローワークでも、面接の相談ができます。ハローワークは在職中でも無料で使えるので、受け答えの基本を確かめる場として活用しましょう。
ハローワークでは、履歴書をはじめとした応募書類の作り方、面接の受け方などの個別相談やセミナーを実施しています。
出典:厚生労働省「ハローワークの相談支援」
在職中の方の利用について、例えば佐賀労働局は次のように案内しています。
在職中の方も利用できます。
出典:佐賀労働局「ハローワークの使い方ガイド ~ 実はこんな利用方法もあります ~」
ハローワークで練習するときは、受験案内の評価の観点と、職務経歴書の控えを持っていきましょう。聞いてほしい質問のリストを渡して、面接官の役をお願いすると練習の質が上がります。
ただし、ハローワークは公務員試験の専門の窓口ではありません。経験者採用の評価の観点や深掘りの流れに沿った指摘までは期待しにくいため、仕上げはプロの模擬面接で行ってください。
一人でできる面接練習:録音・録画で3つを確かめる
プロの模擬面接の効果を高めるのは、一人での練習の積み重ねです。一人で練習するときは、必ず声に出し、録音か録画で自分の答えを確かめてください。

- 質問を一つ選ぶ
- 声に出して答える
- 録音か録画をする
- 聞き返して、3つの点を確かめる
- 直して、もう一度答える
確かめる3つの点は、次のとおりです。
- 最初の一文で、聞かれたことに答えているか(結論が先か)
- 一つの答えが長くなりすぎていないか
- 口癖や表情、目線に気になるところはないか
練習する質問は、経験者採用の面接質問30選の記事を使うと、系統ごとに漏れなく練習できます。一人での練習で答えの骨組みを固めてから模擬面接に臨むと、プロからの指摘も「話し方」や「深掘りへの備え」といった一段上の内容になります。
面接練習はいつから・何回:合格発表から面接まで1〜2週間しかない
面接の練習は、一次試験の合格発表を待ってから始めるものではありません。一次試験の合格発表から面接までは、短いと1週間ほどしかないからです。
| 試験(令和8年度) | 合格発表 | 面接 | 発表から面接まで |
|---|---|---|---|
| 特別区(秋試験) | 第1次の合格発表 10月23日 | 第2次 10月31日〜(指定の1日) | 最短8日 |
| 東京都(第2期) | 第1次の合格発表 9月24日 | 第2次 10月5日〜9日 | 最短11日 |
| 横浜市(社会人採用) | 第二次の合格発表 10月30日 | 第三次(面接)11月14日・15日 | 15日 |

※ 特別区・横浜市は令和8年度の受験案内、東京都は令和8年度の選考案内の公表資料によります。特別区の第2次の日時は人事委員会が指定し、変更はできません。
合格発表を見てから、模擬面接の予約や話す材料の整理を始めても、1〜2週間では仕上がりません。合格発表を見てから模擬面接の申込先を探すのでは、プロに見てもらう回数を確保できなくなります。
回数について、筆者は、プロの模擬面接を少なくとも2回受けることを勧めています。1回目で課題を見つけ、2回目で直ったかを確かめるためです。
一人での練習は、申込のときに職務経歴書を書いた時点から始めましょう。書いた経験を声に出して話す練習が、そのまま面接の準備になります。
公務員の面接練習でよくある質問
面接の練習をしないで、本番に臨んでも大丈夫ですか。
お勧めしません。横浜市の社会人採用では、プレゼンテーションと面接に進んだ人の8割以上が落とされています。一度も練習せずに本番を迎えると、本来の力を出し切れません。
オンラインでも面接の練習はできますか。
できます。一人での録画の練習に加えて、オンラインで模擬面接を受けられるサービスもあります。本番が対面の場合は、仕上げの段階で一度、入室から退室まで本番と同じ流れで練習しておくと安心です。
職場に知られずに、面接の練習はできますか。
一人での練習やオンラインの模擬面接なら、職場の外で進められます。ハローワークも在職中の方が利用できると案内されているので、休日や仕事の前後の時間を使って練習しましょう。
まとめ
- 経験者採用は面接で落とされる試験。自己流の練習だけで臨まない
- 練習の場所は5つ。土台づくりは一人とハローワーク、仕上げはプロの模擬面接
- プロに見てもらう理由は、話し方の癖・評価の観点と深掘り・書類との一貫性の3つ
- 時間に余裕があれば専門予備校の講座で、通えなければ単発の模擬面接で、必ずプロの目を入れる
- ハローワークは在職中も無料。ただし公務員試験の専門ではない
- 合格発表から面接までは1〜2週間。練習は申込のときから始め、プロの模擬面接は少なくとも2回
面接は、準備した分だけ落ち着いて話せるようになる試験です。そして、その準備の質を決めるのは、プロの目を入れたかどうかです。
模擬面接を受ける日を先に決めるところから、今日始めましょう。
なお、面接の配点や評価の観点、面接カードの書き方まで含めた面接対策の全体像は、下記の記事で詳しく解説しています。
【公務員】経験者採用の面接対策|配点・評価の観点と準備の手順経験者採用の面接の配点と評価の観点、頻出25問、志望動機・転職理由・自己PRの作り方、準備の手順を解説。komuin-keikensha.com

