特別区(東京23区)や東京都、県庁・市役所の経験者採用(社会人採用)を受ける方から、面接について次のような相談をよく受けます。
- 「経験者採用の面接では、何を聞かれるのか」
- 「新卒向けの面接対策の本で準備してよいのか」
- 「受験先の自治体に絞った教材が見つからない」
結論から申し上げると、経験者採用は面接で合否が決まる試験です。準備は、受験案内に書かれた「配点」と「評価の観点」から逆算してください。
実際に、受験者の多い横浜市の社会人採用(事務)は、最終段階の650点のうち600点が面接です。仙台市の社会人経験者は、最終合格が第二次試験の個別面接だけで決まります。
最も受験者の多い特別区と東京都は配点を公表していませんが、どちらも最後の関門は個別面接です。
そして、どの受験案内にも共通しているのが、面接で「人物」と「職務経験」を見る、という点です。新卒向けの面接対策をそのまま流用しても、2つ目の「職務経験」には答えられません。
この記事では、各自治体の受験案内をもとに、経験者採用の面接の比重と評価の観点、形式、よく聞かれる質問、志望動機・転職理由・自己PR・面接カードの作り方をご案内します。
あわせて、落ちる人の特徴、年齢や経歴の不安、準備の手順、受験先に特化した教材がない場合の準備の仕方まで解説していきます。受験先がどこであっても使える「面接準備の地図」として、ぜひ最後までお読みください。
この記事でわかること
- 経験者採用の面接の配点と、受験案内に書かれた評価の観点
- 経験者採用で聞かれる質問と、志望動機・転職理由・自己PRの組み立て方
- 面接カードの書き方と、落ちる人に共通する5つの特徴
- 準備を始める時期と、受験先に特化した教材がない場合の準備の仕方
- 経験者採用の面接は配点の大半:合否は面接で決まる
- 経験者採用の面接で評価されること:受験案内の「評価の観点」を読む
- 経験者採用の面接の形式と回数:個別面接が中心、プレゼンを課す自治体も
- 経験者採用の面接で聞かれる質問:5つの系統と頻出25問
- 経験者採用の面接の志望動機:「なぜ公務員・なぜこの自治体・なぜ今」に答える
- 経験者採用の面接の転職理由:不満ではなく「次にやりたいこと」で語る
- 経験者採用の面接の自己PR:職務経験を「受験先の仕事」に結びつける
- 経験者採用の面接カード・職務経歴書:書いたことはすべて聞かれる
- 経験者採用の面接の逆質問:しなくても不合格にはならない
- 経験者採用の面接で落ちる人の特徴:合格する人との5つの違い
- 経験者採用の面接は年齢や経歴で不利になるか:40代・50代・公務員からの転職
- 経験者採用の面接対策の手順:準備は申込の前から始める
- 経験者採用の面接の練習と教材:受験先に特化した教材がない場合の選び方
- よくある質問
- まとめ
経験者採用の面接は配点の大半:合否は面接で決まる
経験者採用の面接は、新卒向けの試験の「最後の関門」とは重みが違います。面接が配点の大半を占める自治体が珍しくありません。
配点を公表している自治体の受験案内から、面接の配点を抜き出すと次のとおりです。
| 自治体(区分) | 面接 | 面接以外 | 面接の比重 |
|---|---|---|---|
| 横浜市 社会人採用(事務) | 第三次 面接600点 | SPI3 20点・プレゼンテーション30点(換算後) | 最終段階の650点中600点(約92%) |
| 仙台市 社会人経験者 | 第一次 面接600点・第二次 面接500点 | 教養100点・論述100点 | 第一次は800点中600点。最終合格は第二次の面接だけで決定 |

※ いずれも令和8年度(2026年度)の受験案内によります。横浜市は、第三次試験の段階で第一次・第二次の得点を換算し、面接の得点と合わせて合否を決めます。
受験者が最も多い特別区と東京都は、配点を公表していません。ただし、どちらも最後の関門は個別面接です。特別区の受験案内は、第2次試験・選考の方法を次のように定めています。
口述試験(人物、職務経験及び職務に関連する知識等についての個別面接)
出典:特別区人事委員会「令和8年度 特別区(東京23区)職員 経験者採用試験・選考案内【秋試験】」
東京都の経験者採用選考も、第1次が書類選考と適性検査(SPI3)、第2次が個別面接です(出典:東京都「令和8年度東京都職員経験者採用選考の選考案内の公表について」)。
新卒の面接で見られるのは「この人はこれから伸びるか」です。これに対して経験者採用の面接では、「この人はこれまで何をしてきて、それを私たちの仕事でどう生かせるか」が見られます。
つまり、経験者採用では、職務経験の中身そのものが評価の対象です。面接官の手元には、申込時に提出した職務経歴書やエントリーシート、面接カードがあり、そこに書いた経験が深く掘り下げられます。
教養試験や論文に時間をかけすぎて、面接の準備を一次試験の合格発表の後から始めるのは危険です。配点の大きい科目から逆算して、時間を配分しましょう。
経験者採用の面接で評価されること:受験案内の「評価の観点」を読む
面接で何を見られるのか。その答えは、受験案内に書かれています。受験案内の「評価の観点(評定項目)」が、そのまま面接の採点の物差しです。
特別区の受験案内は、先に引用したとおり、面接で「人物、職務経験及び職務に関連する知識等」を見ると定めています。
評定項目をさらに細かく公表しているのが仙台市です。第一次と第二次で、評定項目の最後の一つを変えています。
第一次:積極性、堅実性、コミュニケーション力・受容性・協調性、表現力・理解力・判断力、職務経験内容等
第二次:積極性、堅実性、コミュニケーション力・受容性・協調性、表現力・理解力・判断力、職務経験の有用性
出典:仙台市人事委員会「令和8年度 仙台市職員採用試験案内《社会人経験者》」
言葉は自治体ごとに違いますが、見ているものは大きく2つです。
- 組織の一員として働ける人か:人物、堅実性、協調性・受容性、コミュニケーション力
- 職務経験で何ができ、受験先でどう生かせるか:職務経験、職務に関連する知識、積極性、判断力

特に注目していただきたいのが、仙台市の第二次の「職務経験の有用性」です。「有用性」とは、役に立つかどうかを指します。経験を話すだけでなく、受験先の仕事で役に立つことまで説明できて、はじめて評価されます。
受験先が決まったら、まず受験案内を開き、評価の観点の言葉を書き出してください。準備する回答は、すべてこの言葉のどれかに対応させます。
経験者採用の面接の形式と回数:個別面接が中心、プレゼンを課す自治体も
面接の形式は自治体ごとに異なります。受験者の多い特別区は個別面接1回、東京都は個別面接2回、横浜市はプレゼンテーションと個別面接です。
| 自治体 | 面接の形式 | 面接の参考になる書類 |
|---|---|---|
| 特別区(事務) | 口述試験(個別面接1回) | 職務経歴書(申込時に入力) |
| 東京都(事務) | 個別面接(2回) | 職務経歴書・エントリーシート(事前に提出) |
| 横浜市(事務) | 第二次 プレゼンテーション(5分以内)と質疑応答、第三次 個別面接 | エントリーシート、プレゼンテーション資料 |
| 仙台市 | 第一次・第二次で個別面接1回ずつ(第二次は自己PRを含む) | 履歴票(第二次) |
※ 東京都の面接の回数は、東京都職員採用サイトの「試験・選考案内リーフレット(2026)」によります。
このほか、集団討論を課す自治体もあります。形式も面接の時間も、自治体と年度によって変わるものです。
インターネット上の「面接は◯分」といった情報をうのみにせず、受験案内と、一次試験の合格者に届く案内で確かめてください。
東京都のように面接が2回ある場合は、同じ経験を、別の面接官に2回話すことになります。1回目と2回目で話の筋がぶれると信頼性の評価に響くので、注意が必要です。
面接が1回の特別区でも、事前に出した職務経歴書に沿って深く掘り下げられます。どの面接官に聞かれても同じ骨組みで答えられるよう、職務経歴書や面接カードを軸に準備しておきましょう。
経験者採用の面接で聞かれる質問:5つの系統と頻出25問
経験者採用の面接で聞かれる質問は、大きく5つの系統に分かれます。新卒と違うのは、職務経験と転職についての質問が中心になることです。
| 系統 | 質問の例 |
|---|---|
| 職務経験 | これまでの仕事の内容と、あなたの立場を教えてください/最も成果を上げた仕事は何ですか/最も苦労した仕事と、どう乗り越えたかを教えてください/周囲と意見が対立したとき、どう進めましたか/その経験は、当区(当市)のどの仕事で生かせますか |
| 転職・志望動機 | なぜ今の仕事を辞めて公務員になりたいのですか/なぜ民間企業ではなく公務員なのですか/なぜ当区(当市)なのですか/転職を考えたきっかけは何ですか/入庁したら、どんな仕事をしたいですか |
| 受験先の理解 | 当区(当市)の強みと課題を一つずつ挙げてください/最近、関心を持った当区(当市)の施策は何ですか/総合計画の中で、関心のある分野はどこですか/当区(当市)の職員に必要な資質は何だと思いますか/公務員の不祥事について、どう考えますか |
| 人物 | あなたの長所と短所を教えてください/仕事でミスをしたとき、どう対応しましたか/ストレスを感じたとき、どう対処していますか/周りからどんな人だと言われますか |
| 経験者採用ならではの確認 | 内定したら、今の職場はいつ退職できますか/受験することを職場に伝えていますか/年下の上司や先輩のもとで働けますか/給与が下がる場合もありますが、構いませんか/希望しない部署に配属されたら、どうしますか/ほかにどこを受けていますか |

最後の「経験者採用ならではの確認」は、新卒向けの対策本ではほとんど扱われていません。面接官が確かめたいのは、意欲だけでなく、本当に入庁してくれるのか、組織になじめるのか、という現実的な点です。
経験者採用ならではの質問で答えに詰まると、志望動機がどれだけ立派でも「本気で転職するつもりがあるのか」と疑われますので、注意が必要です。
もっとも、25問すべてに回答を作り込む必要はありません。どの質問にも使える「話す材料(エピソード)」を5つほど用意し、質問に合わせて組み合わせるのが効率的です。
なお、質問を30問に広げ、質問ごとの面接官の意図と答え方、回答例は、下記の記事で詳しく解説しています。
【公務員】社会人の面接質問30選|経験者採用での答え方と回答例経験者採用の面接で聞かれる30問を5系統に整理。面接官の意図と答え方、回答例、職務経歴書からの深掘りへの備えまで解説。komuin-keikensha.com
経験者採用の面接の志望動機:「なぜ公務員・なぜこの自治体・なぜ今」に答える
志望動機で問われているのは、3つの「なぜ」です。「なぜ公務員か」「なぜこの自治体か」「なぜ今なのか」を、一本の筋でつなげて答えましょう。

- なぜ公務員か:民間企業では実現できず、行政だからこそできることは何か
- なぜこの自治体か:受験先の総合計画や重点施策の中で、自分の経験が生きるのはどこか
- なぜ今か:これまでの職務経験で何を身につけ、なぜ今それを行政で生かしたいのか
新卒の志望動機は「なぜ公務員か」「なぜこの自治体か」の2つで足ります。経験者採用では、これに「なぜ今か」が加わります。
今の仕事を辞めてまで転職する理由ですから、ここが曖昧なままでは、志望動機全体に説得力が生まれません。
よくある失敗が、「安定しているから」「住民の役に立ちたいから」だけで終わる志望動機です。安定は本音であっても志望動機にはなりませんし、人の役に立つ仕事は民間企業にもあります。
「なぜこの自治体か」に答えるには、受験先の資料を読むしかありません。最低限、次の3つには目を通しておきましょう。
- 総合計画(基本計画)と、その実施計画
- 最新年度の当初予算の概要(重点的に取り組む事業が分かります)
- 人材育成基本方針(目指す職員像が書かれています)
資料を読んだら、自分の経験が生かせそうな施策を2〜3個に絞り、具体的に話せるようにしておきます。地元出身かどうかよりも、受験先の課題を自分の言葉で語れるかどうかが問われます。
経験者採用の面接の転職理由:不満ではなく「次にやりたいこと」で語る
転職理由は、経験者採用の面接で最も答え方に差が出る質問の一つです。転職理由は、前職への不満ではなく、前職で積み上げたことと、公務員として次にやりたいことで語りましょう。
| 避けたい言い方 | 伝わる言い方 |
|---|---|
| 残業が多く、体力的に続けられないと感じた | 〇年間で△△の経験を積み、次はその経験を地域全体のために使いたいと考えた |
| 会社の方針が利益優先で、納得できなかった | 顧客一人ひとりに対応する中で、制度そのものを良くする仕事に関わりたいと考えた |
前職への不満は、多くの転職者が抱えているもので、それ自体は悪いことではありません。ただし、不満を転職理由として話すと、面接官は「役所でも同じ不満を持つのではないか」と考えます。
もう一つ大事なのが、転職理由と志望動機を同じ筋にすることです。「前職で〇〇をしてきた。だからこそ、次は行政で〇〇をしたい」と一つの話としてつながっていれば、深掘りされても崩れません。
現職の公務員が別の自治体や国を受ける場合は、「なぜ今の職場ではだめなのか」をまず聞かれると考えてください。
今の職場への批判にならないよう、「今の職場ではできず、受験先だからこそできること」で答えましょう。
経験者採用の面接の自己PR:職務経験を「受験先の仕事」に結びつける
自己PRで評価されるのは、成果の大きさそのものではありません。評価されるのは、成果に向けて「どう動いたか」と、それを受験先で「どう生かすか」です。
自己PRは、次の4段で組み立てておくと、時間の指定がどうであっても対応できます。

- 強み:自分の強みを一言で言う
- 根拠となる経験:その強みを発揮した職務経験を、数字(件数・金額・人数・期間)を入れて話す
- 受験先での生かし方:その経験が、受験先のどの仕事・どの課題で役に立つかを言う
- 評価の観点につなぐ:受験案内の評価の観点や、目指す職員像のどれに当たるかで締める
横浜市は、第二次試験のプレゼンテーション(5分以内)で、次のテーマを課しています。
これまでの職務経験等から培った自分の強みを、本市でどのように活かしていきたいか教えてください。
出典:横浜市人事委員会「令和8年度横浜市職員(社会人)採用試験 受験案内」
これは、上の4段そのものです。1分で話す短い版と、3〜5分で話す長い版の2つを用意しておけば、面接の自己PRにもプレゼンテーションにも対応できるはずです。
「頑張りました」「貢献しました」だけで、数字も自分の役割も出てこない自己PRは、どれだけ熱意があっても評価されません。チームの成果を話すときも、その中で自分が何を担ったのかを必ず言いましょう。
行政の仕事と結びつけやすい経験の例を挙げておきます。
- 営業・接客:利害の違う相手との調整、苦情への対応、説明して納得してもらう力
- 事務・経理:正確さ、期限の管理、規則に沿った処理
- IT・システム:業務の効率化、デジタル化の推進
- 企画・管理職:計画の立案、予算の管理、部下や関係者のとりまとめ
経験者採用の面接カード・職務経歴書:書いたことはすべて聞かれる
面接カードや職務経歴書は、面接官の手元にある「質問の台本」です。書いたことは、すべて聞かれると考えて書いてください。
特別区の受験案内には、次のように書かれています。
第2次試験・選考で参考資料として使用する「職務経歴書」も申込時に入力をしていただきます。
出典:特別区人事委員会「令和8年度 特別区(東京23区)職員 経験者採用試験・選考案内【秋試験】」
東京都も、職務経歴書とエントリーシートを事前に提出し、第1次の書類選考に使います。

つまり、職務経歴書を書くのは、面接の3〜4か月前です。申込のときに深く考えずに職務経歴書を書くと、3〜4か月後の面接で、その内容に沿って深掘りされることになります。
職務経歴書や面接カードを書くときは、次の3点を守りましょう。
- 書く前に、面接で話したい「話す材料(エピソード)」を決めておく
- 提出した内容の控えを、必ず手元に残す
- 面接の前に読み返し、書いた一文ごとに「なぜ」「具体的には」と深掘りされる質問を3つずつ想定する
書類と面接での回答が食い違うと、それだけで信頼性を疑われます。職務経歴書や面接カードは、面接の準備の出発点です。
経験者採用の面接の逆質問:しなくても不合格にはならない
面接の最後に「何か質問はありますか」と聞かれることがあります。逆質問は、しなければならないものではありません。逆質問をしなかったことを理由に、不合格になることもありません。
聞きたいことが特になければ、「本日のお話で疑問は解消しました。ありがとうございました」と伝えれば十分です。
それでも質問したい場合は、用意は1〜2個でよい
どうしても聞いておきたいことがある場合は、次の点を押さえておきましょう。逆質問は、評価を大きく上げる場というより、受験先への理解と入庁後の意欲を確かめる場です。用意しておくのは1〜2個で十分です。
経験者採用なら、例えば次のような質問が考えられます。
- 経験者採用で入庁した職員に、どのような役割が期待されていますか
- 入庁後の研修で、経験者採用の職員向けのものはありますか
- 〇〇の経験を生かせる部署では、今どのような課題に取り組んでいますか
給与や休暇など待遇だけを尋ねる質問や、受験先のサイトを見れば分かる質問は避けましょう。
用意した質問が面接の中のやり取りで解消していれば、「本日のお話で疑問が解消しました」と伝えれば足ります。
経験者採用の面接で落ちる人の特徴:合格する人との5つの違い
面接で落ちる人には、はっきりした共通点があります。落ちる人と合格する人の差は、経験の華やかさではなく、経験を受験先の仕事に結びつけて話せるかどうかです。
| 落ちる人 | 合格する人 |
|---|---|
| 前職の実績を誇り、「役所のやり方を変えたい」と語る | 前職の経験を、受験先のやり方の中でどう生かすかを語る |
| 志望動機の本音が「安定」や「待遇」に見える | 受験先の課題と、自分がやりたい仕事を具体的に語る |
| 経験を話すだけで、受験先の仕事と結びついていない | 経験を、受験先の施策や評価の観点と結びつけて話す |
| 回答が長く、結論がなかなか出てこない | 結論から話し、深掘りされたら具体例を足す |
| 面接カードと話が食い違う。受験先を調べていない | 面接カードを軸に、どの面接官にも同じ筋で答える |
特に注意が必要なのが、1つ目です。「民間の感覚で役所を変えたい」という言い方は、意欲のつもりでも、面接官には「組織になじめない人」と映ります。
行政には、法律や予算、議会の手続きなど、民間企業とは違う決まりがあります。まずはそのやり方を学び、そのうえで経験を生かす、という順序で話しましょう。
経験者採用の面接は、即戦力を求めつつ、「新人として学び直せる人か」も見ています。この両方を備えていることを伝えるのが、合格する人の話し方です。
なお、経験者採用でどの段階で何人が落ちているかと、合格する人の特徴は、下記の記事で詳しく解説しています。
【公務員】経験者採用に合格する人の特徴|落ちる人との5つの違い横浜市では、プレゼンテーションと面接に進んだ104人のうち最終合格は19人。合格する人の5つの特徴と、落ちる人との違いを解説。komuin-keikensha.com
経験者採用の面接は年齢や経歴で不利になるか:40代・50代・公務員からの転職
結論から申し上げると、年齢そのものが面接で不利になることはありません。問われるのは、年齢に見合った経験と、新しい職場で学び直す姿勢です。
経験者採用は、もともと年齢の高い受験者を想定して作られています。
特別区(令和8年度秋試験)の受験資格は「昭和40年4月2日以降に生まれた人」で、1級職は直近10年のうち業務従事歴が4年以上です。横浜市の社会人採用は1964年4月2日から1996年4月1日までに生まれた人で、直近7年のうち職務経験が5年以上です。
40代・50代の受験者がいることは、制度の前提なのです。
自治体の中途採用そのものも広がっています。総務省の調査は、令和6年度の状況を次のようにまとめています。
令和6年度に実施した中途採用試験について、受験者数は83,634人で、前年度から7,163人増加。採用者数は13,586人で、前年度から2,455人増加。
出典:総務省「令和6年度地方公共団体の勤務条件等に関する調査結果の概要」

経歴に不安がある方は、次のように考えてください。
- 転職回数が多い:回数そのものより、一つひとつの転職に共通する軸を説明できるかが問われます
- 公務員からの転職:現職の経験は、行政の仕組みを知っているという強みになります。「なぜ受験先なのか」を、今の職場の批判にせず答えましょう
- 非正規の勤務やブランクがある:事実を短く述べ、その期間に何をしていたか、何を得たかを話せば足ります。受験資格の「職務経験」に何が含まれるかは、受験案内で確かめましょう
なお、40代・50代が受けられる試験と年齢の上限、面接で準備したい質問は、下記の記事で詳しく解説しています。
【公務員】40代・50代で転職できる?経験者採用の年齢と面接特別区・横浜市の年齢の上限と引き上げの動き、主任・係長級の級職、40代・50代が面接で準備したい質問を解説。komuin-keikensha.com
経験者採用の面接対策の手順:準備は申込の前から始める
ここまでの内容を、準備の手順にまとめます。面接の準備は、一次試験の合格発表の後ではなく、申込の前から始めてください。

- 受験案内を読む:面接の配点、評価の観点、形式(回数・自己PR・プレゼン)、提出書類(職務経歴書・エントリーシート・面接カード)を書き出す
- 職務経験を棚卸しする:担当業務・立場・成果を数字とともに整理し、話す材料(エピソード)を5つ選ぶ
- 受験先を研究する:総合計画、当初予算の概要、人材育成基本方針を読み、自分の経験が生きる施策を2〜3個に絞る
- 職務経歴書・面接カードを書く:話す材料に沿って書き、控えを残す
- 想定問答を作り、声に出す:5つの系統ごとに、結論→具体例→受験先での生かし方の順で、声に出して答える
- 模擬面接を受ける:第三者に2〜3回見てもらい、話の長さ・結論の出し方・深掘りへの対応を直す
時期の目安は次のとおりです。
| 時期 | やること |
|---|---|
| 申込まで | 手順1〜4(受験案内・棚卸し・受験先研究・職務経歴書と面接カード) |
| 一次試験まで | 筆記の勉強と並行して、手順5を少しずつ(1日1問、声に出す) |
| 一次試験の後 | 合格発表を待たずに手順6を始め、回答を仕上げる |
特別区の秋試験では、第1次の合格発表(10月23日)から第2次試験・選考(10月31日〜11月8日のうち指定された1日)まで、早い人で8日しかありません。
東京都の経験者採用選考(第2期)も、第1次の合格発表(9月24日)から第2次(10月5日〜9日のうち指定された1日)まで、2週間足らずです。
合格発表を待ってから面接の準備を始めると、模擬面接を受ける時間すら取れなくなります。
経験者採用の面接の練習と教材:受験先に特化した教材がない場合の選び方
最後に、何を使って準備するかです。受験先に特化した教材があればそれが最優先、なければ県庁・市役所に共通する頻出質問の教材と社会人採用向けの参考書で型を作り、模擬面接で仕上げましょう。
受験先に特化した教材がある場合
特別区(東京23区)、東京都、横浜市、仙台市、札幌市などは受験者が多く、過去の面接の質問や受験生の情報をまとめた教材が出ています。受験先がこれらに当たるなら、その自治体に特化した教材を使うのが最も効率的です。
仙台市を受ける方に向けては、評定項目・自己PRの組み立て・想定質問を、下記の記事でまとめています。
仙台市社会人採用の面接対策|評定項目・自己PR・想定質問第一次(600点)と第二次(500点・自己PRを含む)の評定項目、自己PRの組み立て、想定質問と準備の進め方。komuin-keikensha.com
受験先に特化した教材がない場合
埼玉県や愛知県をはじめ、多くの県庁・市役所では、その自治体だけに絞った面接の教材はほとんどありません。ただ、ここまで見てきたとおり、評価の観点や質問の系統は、自治体が変わっても大きくは変わりません。
そこで役に立つのが、県庁・市役所の面接で頻出の質問を網羅した模範回答集です。筆者が勧めるのは、社会人採用の専門予備校Gravityの『面接試験「頻出質問150」模範回答集』です。
質問ごとに「面接官の出題意図」が付いているので、自分の回答を組み立てる土台として使えます。
市役所・県庁『面接試験「頻出質問150」模範回答集』のご案内市役所・県庁の面接で頻出の150問に、2〜3パターンの模範回答と、面接官の出題意図・回答のポイントを掲載。gravity-koumuin.com
ただし、模範回答をそのまま覚えて話すと、深掘りされた途端に崩れます。出題意図を読み、自分の経験を当てはめて回答を作り直す使い方をしてください。
面接だけでなく、論文や集団討論、プレゼンテーションまで社会人採用の試験全体を一冊で押さえたい方には、参考書『公務員教科書「社会人採用試験」完全攻略テキスト』(翔泳社)もあります。
▶ 翔泳社「公務員教科書 社会人採用試験 完全攻略テキスト」
模擬面接で第三者に見てもらう
教材で回答を作ったら、最後は声に出して、第三者に見てもらいます。話が長い、結論が遅い、目線が泳ぐといった自分の癖は、自分では気づけません。
模擬面接は、予備校の模擬面接を単発で受けるほか、ハローワークでも面接の受け答えについて個別に相談できます。
ハローワークでは、履歴書をはじめとした応募書類の作り方、面接の受け方などの個別相談やセミナーを実施しています。
出典:厚生労働省「ハローワークの相談支援」
家族や同僚に面接官役を頼む場合は、質問の一覧を渡し、「結論から話しているか」「数字が入っているか」の2点だけを見てもらうと効果的です。
なお、面接の練習をどこで、どう進めるかと、模擬面接の選び方は、下記の記事で詳しく解説しています。
【公務員】社会人の面接練習はどこで?模擬面接はプロに見てもらう一人での練習・ハローワーク・専門予備校の講座・単発の模擬面接の使い分けと、プロに見てもらう理由、始める時期と回数を解説。komuin-keikensha.com
よくある質問
面接の服装は、スーツでなければいけませんか。
受験案内や一次試験の合格者への案内で服装の指定がなければ、スーツが無難です。「軽装可」などの指定があれば、それに従いましょう。
面接の日に仕事を休めるか心配です。
面接の日は、自治体が指定した1日になることが多く、受験者が選べない場合があります。特別区の第2次試験・選考も、5日間のうち人事委員会が指定する1日で、指定された日時は変更できません。
受験案内で面接の期間を確かめ、その期間は早めに休みを取れるよう調整しておきましょう。
受験することを、今の職場に伝えるべきですか。
伝えるかどうかは、ご自身で判断してかまいません。ただし面接では、「職場に伝えているか」「内定したらいつ退職できるか」を聞かれることがあります。
退職までの段取り(引き継ぎに必要な期間など)は、面接の前に考えておきましょう。
面接で落ちたら、翌年の受験で不利になりますか。
前年に不合格だった人を不利に扱うという定めは、この記事で紹介した受験案内のどれにもありません。
特別区のように、希望すれば総合得点と順位を通知してもらえる自治体もあります。こうした制度があれば利用し、どこで点を落としたのかを確かめてから、翌年の準備に入りましょう。
新卒向けの面接対策の本は使えますか。
面接のマナーや基本的な質問への答え方は参考になります。ただし、新卒向けの本は「学生時代に力を入れたこと」が中心で、職務経験・転職理由・経験者採用ならではの確認には答えていません。
経験者採用向けの教材と組み合わせて使いましょう。
まとめ
- 経験者採用は面接で合否が決まる。横浜市は最終段階の650点中600点が面接、仙台市は最終合格が面接だけで決まる。特別区・東京都も最後の関門は個別面接
- 面接の物差しは、受験案内の「評価の観点」。見ているのは「組織で働ける人か」と「職務経験をどう生かせるか」
- 質問は5つの系統。新卒と違うのは、職務経験・転職・経験者採用ならではの確認
- 志望動機は「なぜ公務員・なぜこの自治体・なぜ今」、転職理由は不満ではなく「次にやりたいこと」で、一本の筋にする
- 自己PRは、強み→経験(数字)→受験先での生かし方→評価の観点、の4段。1分版と3〜5分版を用意する
- 職務経歴書や面接カードは申込時に書く。書いたことはすべて聞かれる
- 逆質問はしなくてもよい。しなかったことを理由に不合格になることはない
- 準備は申込の前から。合格発表を待ってから始めると間に合わない
- 受験先に特化した教材がなければ、県庁・市役所に共通する頻出質問の教材と社会人採用向けの参考書で型を作り、模擬面接で仕上げる
経験者採用の面接は、これまでの社会人生活のすべてが材料になる試験です。裏を返せば、準備の仕方さえ間違えなければ、経験を積んできた分だけ有利に戦えます。
受験案内を開くところから、今日始めましょう。
なお、筆記・論文・書類・面接のどこに時間とお金をかけるべきかについては、下記の記事で詳しく解説しています。
社会人の公務員試験は独学か予備校か|経験者採用での使い分け経験者採用なら筆記は独学で足ります。論文・書類・面接にどこまで第三者の目を入れるか、予備校の選び方を解説。komuin-keikensha.com

