40代・50代で公務員への転職を考えている方から、次のような相談をよく受けます。
- 「40代・50代でも、公務員の経験者採用を受けられるのか」
- 「年齢で不利になるのではないか」
- 「年下の上司のもとで、うまくやっていけるのか」
結論から申し上げると、40代・50代でも、経験者採用は十分に受けられます。合否を分けるのは年齢ではなく、面接で「これまでの経験を受験先でどう生かすか」を語れるかどうかです。
実際に、令和8年度の特別区(東京23区)の経験者採用は昭和40年(1965年)4月2日以降に生まれた人が、横浜市の社会人採用は1964年4月2日以降に生まれた人が受験できます。
横浜市は、春実施枠の年齢の上限を、令和8年度から40歳から62歳に引き上げました。
この記事では、主な自治体の年齢の上限と、40代・50代が選べる級職(主任・係長級)、面接で見られる点をご案内します。
あわせて、40代・50代が特に準備しておきたい面接の質問と答え方まで解説していきます。年齢を不安材料ではなく強みとして語るための手引きとして、ぜひ最後までお読みください。
この記事でわかること
- 40代・50代が受けられる経験者採用と、主な自治体の年齢の上限
- 特別区の級職(1級職・主任・係長級)と、必要な職務経験の年数
- 40代・50代も面接で落とされる理由と、評価の観点
- 40代・50代が特に準備しておきたい面接の質問と答え方
40代・50代でも公務員に転職できる:主な自治体の年齢の上限
40代・50代でも、公務員への転職の道は開かれています。特別区や横浜市のように60歳前後まで受験できる試験があり、年齢の上限を引き上げる自治体も出ています。
主な自治体の、令和8年度の受験資格(年齢)は次のとおりです。
| 試験(令和8年度) | 年齢の要件 | 職務経験の要件 |
|---|---|---|
| 特別区 経験者採用(秋試験) | 昭和40年(1965年)4月2日以降に生まれた人 | 級職により直近10〜18年のうち4〜12年 |
| 横浜市 社会人採用 | 1964年4月2日〜1996年4月1日に生まれた人 | 直近7年のうち5年以上 |
| 横浜市 社会人採用【春実施枠】 | 31歳から62歳まで | - |
| 横浜市 就職氷河期世代の採用試験 | 1970年4月2日〜1986年4月1日に生まれた人 | 職歴の要件なし |
※ 各自治体の令和8年度の受験案内と、横浜市「社会人採用試験【春実施枠】 実施する試験区分・主な変更点等」によります。横浜市の春実施枠の職務経験の要件は、受験案内で確かめてください。

特に注目していただきたいのが、横浜市の春実施枠です。令和7年度は「31歳から40歳まで」だった年齢の要件を、令和8年度は「31歳から62歳まで」に広げました。採用の時期も、試験の翌年度の4月から、試験を行う年度の10月に早めています。
自治体の中途採用は、全体としても広がっています。
総務省の調査では、地方公共団体の中途採用試験の採用者は、令和2年度の8,331人から令和6年度は13,586人に増えました(出典:総務省「令和6年度地方公共団体の勤務条件等に関する調査結果の概要」)。
ただし、年齢の要件は自治体と年度ごとに違います。インターネットの「◯歳まで」という情報だけで受験先を決めるのは避け、必ず受験案内で生年月日の範囲を確かめてください。
40代・50代は級職を選べる:特別区は経験年数で主任・係長級も
40代・50代の方は、職務経験が長い分、選べる試験の幅も広がります。特別区の経験者採用は、職務経験の年数に応じて、1級職だけでなく主任や係長級でも受験できます。
| 特別区の級職 | 職の内容 | 必要な業務従事歴 | 初任給の目安 |
|---|---|---|---|
| 1級職 | 係員の業務を行う職 | 直近10年のうち4年 | 約296,500円 |
| 2級職(主任) | 係長職への昇任を前提とした係長職を補佐する職 | 直近14年のうち8年 | 約337,800円 |
| 3級職(係長級) | 係長、担当係長、主査又はこれに相当する職 | 直近18年のうち12年 | 約392,700円 |
※ 出典:特別区人事委員会「令和8年度 特別区(東京23区)職員 経験者採用試験・選考案内【秋試験】」。初任給は令和8年4月1日現在の給料月額に地域手当を加えた額です。
給与について、特別区の受験案内は次のように定めています。
採用前の職務経験等について、一定の基準により加算される場合があります。
出典:特別区人事委員会「令和8年度 特別区(東京23区)職員 経験者採用試験・選考案内【秋試験】」
ただし、上の級職ほど募集する区分が限られることがあります。令和7年度の秋試験では、3級職は事務(ICT)や児童福祉などの区分だけで、事務(一般事務)はありませんでした。
どの級職を受けるかは、受験案内で区分と業務従事歴の要件を照らし合わせて決めましょう。
40代・50代も面接で落とされる:問われるのは年齢より経験の生かし方
40代・50代だからといって、特別に有利にも不利にもなるわけではありません。問われるのは年齢ではなく、職務経験を受験先でどう生かせるかです。
面接の厳しさは、年齢に関係なく変わりません。
横浜市の社会人採用【春実施枠】(令和8年度・事務)では、筆記(SPI3)を通過してプレゼンテーションと面接に進んだ104人のうち、最終合格はわずか19人でした(出典:横浜市「社会人採用試験【春実施枠】実施状況・結果」)。
この年度の春実施枠は、31歳から62歳までが受験できる試験です。年齢の幅が広い分、40代・50代も、30代の受験者と同じ物差しで比べられます。
その物差しは、受験案内の評価の観点です。特別区は面接で「人物、職務経験及び職務に関連する知識等」を見ると定め、仙台市は最終の面接の評定項目に「職務経験の有用性」を挙げています。どちらにも、年齢という項目はありません。
つまり、経験が長いことは、それだけでは評価されません。経験の長さや肩書きを並べるだけの答えでは、30代の受験者に負けてしまいます。長い経験の中から、受験先の仕事で役に立つものを選び抜いて語ることが大切です。
40代・50代が面接で準備しておきたい質問と答え方
40代・50代の方には、年齢や経歴に関わる質問への備えが欠かせません。年下の上司や給与など、答えにくい質問ほど、面接の前に答えを決めておいてください。
| 質問 | 面接官の意図 | 答え方のポイント |
|---|---|---|
| 年下の上司や先輩のもとで働けますか | 組織になじめるか、プライドが邪魔をしないかを見たい | 行政の仕事では自分が新人であることを前提に答える |
| 前職では管理職でしたが、係員(主任)から始めることに抵抗はありませんか | 役職へのこだわりがないかを確かめたい | 役職より、行政の仕事を一から学ぶことに意味があると答える |
| 給与が下がる場合もありますが、構いませんか | 待遇への不満から早く辞めないかを確かめたい | 給与の目安を確かめ、家族とも話し合ったうえで受験していると答える |
| なぜ、この年齢で転職するのですか | 転職の理由と、決意の固さを確かめたい | これまでの経験を、残りの職業人生で行政に生かしたいと語る |
| 新しい仕事の進め方や制度を、一から覚えられますか | 学び直す柔軟さがあるかを見たい | 最近新しく身につけたことを、具体例として挙げる |
| 希望しない部署に配属されたら、どうしますか | 異動を前提に働けるかを確かめたい | どの部署でも生かせる経験を一つ挙げて答える |

特に気をつけたいのが、管理職の経験の伝え方です。「部下を何人まとめてきた」という実績を、そのまま役職への期待として語ると、面接官には「係員の仕事に満足できない人」と映ります。
管理職の経験は、「関係者の意見をまとめた経験」や「若手を育てた経験」として、受験先の仕事に置き換えて語りましょう。経験者採用の面接で聞かれる質問全体は、経験者採用の面接質問30選の記事で解説しています。
40代・50代の準備:経験を絞り込み、面接はプロに見てもらう
経験が長い方ほど、話したいことが多く、答えが長くなりがちです。40代・50代の準備は、長い経験の中から話す材料を絞り込み、面接はプロに見てもらって仕上げてください。
準備は次の順で進めましょう。
- 受験案内で、年齢の要件・級職・職務経験の要件を確かめる
- 職務経歴書に書く経験を、受験先の仕事に役立つものに絞り込む
- 年下の上司・給与・役職など、答えにくい質問への答えを決める
- 声に出して練習し、本番の前にプロの模擬面接を受ける
経験が長いと、自分では当たり前になっている話し方の癖や、説明の長さに気づきにくくなります。面接は必ず一度はプロに見てもらってください。練習の場所と模擬面接の選び方は、社会人の面接練習の記事で詳しく解説しています。
40代・50代の経験者採用でよくある質問
50代でも、経験者採用に合格できますか。
受験資格の年齢の範囲内であれば、受験はできます。年齢別の合格者数は、この記事で紹介した実施状況には載っていません。
受験案内の評価の観点に年齢は入っていないので、職務経験を受験先でどう生かすかを語れるかどうかで勝負が決まります。
就職氷河期世代の採用試験とは、どのような試験ですか。
雇用環境の厳しい時期に就職活動を行った世代を対象にした試験です。
横浜市の令和8年度の試験は、1970年4月2日から1986年4月1日までに生まれた人が対象で、職歴の要件はありません(出典:横浜市「令和8年度 就職氷河期世代を対象とした横浜市職員採用試験 受験案内」)。
この試験も、第二次がプレゼンテーション、第三次が面接で、面接が650点のうち600点を占めます。
給与は、前職より下がりますか。
前職の給与や受験する級職によって違います。特別区のように、採用前の職務経験が一定の基準で給与に加算される自治体もあるので、受験案内の給与の例を確かめておきましょう。
まとめ
- 40代・50代でも経験者採用は受けられる。特別区は昭和40年4月2日以降、横浜市は1964年4月2日以降に生まれた人が対象
- 横浜市の春実施枠は、令和8年度から年齢の上限を40歳から62歳に引き上げた
- 特別区は、職務経験の年数に応じて主任(8年)・係長級(12年)でも受験できる
- 面接で問われるのは年齢ではなく、経験の生かし方。横浜市では面接に進んだ104人のうち最終合格は19人
- 年下の上司・役職・給与など、答えにくい質問の答えは事前に決め、面接はプロに見てもらう
40代・50代の経験者採用は、これまでの社会人生活が長い分だけ、話す材料が多い試験です。その材料を受験先の仕事に結びつけて語れれば、年齢は不安材料ではなく強みになります。
受験案内で、受けられる試験と級職を確かめるところから、今日始めましょう。
なお、面接の配点や評価の観点、面接カードの書き方、準備の手順まで含めた面接対策の全体像は、下記の記事で詳しく解説しています。
【公務員】経験者採用の面接対策|配点・評価の観点と準備の手順経験者採用の面接の配点と評価の観点、頻出25問、志望動機・転職理由・自己PRの作り方、準備の手順を解説。komuin-keikensha.com

