【公務員】経験者採用に合格する人の特徴|落ちる人との5つの違い

特別区(東京23区)や東京都、県庁・市役所の経験者採用(社会人採用)を受ける方や、一度不合格になった方から、次のような相談をよく受けます。

  • 「経験者採用に合格する人は、何が違うのか」
  • 「筆記は通ったのに、面接で落ちてしまった」
  • 「自分の経歴で、本当に受かるのか」

結論から申し上げると、経験者採用に合格する人は、試験が面接で決まることを知ったうえで準備を配分し、職務経験を受験先の仕事に結びつけて語れる人です。 経歴の華やかさや年齢で決まるわけではありません。

根拠は、公表されている数字にあります。横浜市の社会人採用【春実施枠】(令和8年度・事務)では、筆記(SPI3)を通過してプレゼンテーションと面接に進んだ104人のうち、最終合格はわずか19人でした。面接の段階に進んだ人の8割以上が落とされているのです。

この記事では、特別区・東京都・横浜市・仙台市の受験案内と実施状況をもとに、経験者採用で落ちる段階、合格する人の5つの特徴、落ちる人との違いをご案内します。

あわせて、書類・筆記・論文・面接の段階ごとに合格する人がしていることと、不合格になった後の立て直し方まで解説していきます。次の受験で結果を変えるための手引きとして、ぜひ最後までお読みください。

この記事でわかること

  • 経験者採用で、どの段階で何人が落ちているか(横浜市の実施状況)
  • 経験者採用に合格する人の5つの特徴と、受験案内の根拠
  • 落ちる人と合格する人の5つの違い
  • 段階ごとに合格する人がしていることと、不合格からの立て直し方

経験者採用は面接で落とされる試験:横浜市は面接に進んだ人の8割以上が不合格

経験者採用の合否は、筆記を通った後の面接で決まります。横浜市の社会人採用(事務)では、プレゼンテーションと面接に進んだ人の8割以上が不合格になっています。

横浜市の社会人採用(事務)の実施状況を、段階ごとに抜き出すと次のとおりです。

令和8年度(事務)受験者第一次(SPI3)の合格者第二次(プレゼンテーション)の合格者最終合格者(第三次・面接)
春実施枠450人104人53人19人(23.7倍)
秋の試験(実施中)610人145人77人12月4日に発表
横浜市社会人採用【春実施枠】(令和8年度・事務)の段階ごとの人数(受験者450人・第一次合格104人・第二次合格53人・最終合格19人)。プレゼンテーション・面接に進んだ104人のうち最終合格は19人

※ 出典:横浜市「社会人採用試験【春実施枠】実施状況・結果」、横浜市「社会人採用試験 実施状況・結果」、横浜市「令和8年度 社会人採用試験【春実施枠】受験案内」

春実施枠の試験は、第一次がSPI3、第二次がプレゼンテーション(5分以内の発表と質疑応答)、第三次が個別面接です。SPI3を通過した104人のうち、最終合格は19人でした。プレゼンテーションと面接の段階で、85人が落とされています。

秋の試験は、第二次試験でプレゼンテーション(5分以内)と質疑応答を行い、第一次の合格者145人のうち、第二次の合格者は77人でした。11月の第三次試験は、650点のうち600点を面接が占めます(令和8年度の受験案内)。

つまり、筆記を通ってからが本番です。プレゼンテーションと面接で大きく絞られ、最後の面接で合否が決まります。

経験者採用の倍率:自治体と区分で2倍台から10倍近くまで

倍率も確かめておきましょう。経験者採用の倍率は、自治体と区分によって大きく違います。

試験倍率
特別区 1級職・全区分(令和7年度 秋)2.8倍
特別区 1級職・事務(令和7年度 秋)3.5倍
特別区 2級職・事務(令和7年度 秋)4.9倍
東京都・事務(令和7年度)9.6倍
地方自治体の中途採用試験の全体(令和6年度)6.2倍

※ 特別区・東京都は第1次の受験者数を最終合格者数で割った倍率です。地方自治体の全体は、受験者83,634人・採用者13,586人の採用倍率です(出典:総務省「令和6年度地方公共団体の勤務条件等に関する調査結果の概要」)。

ただし、倍率の数字だけで難しさを判断するのはお勧めしません。大切なのは、どの段階で何人が落ちているかです。

「筆記さえ通れば何とかなる」と考えて、面接の準備を後回しにすると、最後の面接で落とされます。面接の準備は、申込の前から始めてください。

経験者採用に合格する人の特徴5つ:受験案内から読み解く

合格する人には、共通する行動があります。合格する人の特徴は、どれも受験案内に書かれた配点と評価の観点に沿ったものです。

合格する人の特徴受験案内の根拠具体的な行動
① 配点の大きい試験から準備する横浜市は最終段階の650点中600点が面接受験案内で配点を確かめ、論文・書類・面接に時間をかける
② 職務経験を受験先の仕事に結びつけて語れる仙台市の評定項目「職務経験の有用性」経験ごとに「受験先のどの仕事で生かすか」まで用意する
③ 書類と面接の話が一貫している特別区は職務経歴書を第2次の参考資料に使う職務経歴書の控えを残し、面接の準備の出発点にする
④ 転職理由と志望動機が一本の筋になっている特別区の面接は「人物、職務経験及び職務に関連する知識等」を見る前職でやり切ったことと、行政で次にやりたいことをつなげる
⑤ 行政のやり方を学ぶ姿勢がある仙台市の評定項目「受容性・協調性」年下の上司や異動を前提に「まず学ぶ」と言える

① 配点の大きい試験から準備する

合格する人は、受験先が決まると、まず受験案内で配点と試験の流れを確かめます。そのうえで、配点の大きい論文・書類・面接に時間を回しているのです。

筆記の役割も、受験案内で確かめられます。例えば特別区は、教養試験が一定の点に満たないと論文が採点されない仕組みで、教養は「越えるべき線」の役割を果たしています。

② 職務経験を受験先の仕事に結びつけて語れる

仙台市は、最終の面接の評定項目に「職務経験の有用性」を挙げています。経験が役に立つかどうかは、受験先の仕事と結びつけて初めて伝わるものです。

合格する人は、経験を語るたびに「その経験を、受験先のどの仕事で生かすか」まで言い切ります。

③ 書類と面接の話が一貫している

特別区の受験案内には、次のように書かれています。

第2次試験・選考で参考資料として使用する「職務経歴書」も申込時に入力をしていただきます。

出典:特別区人事委員会「令和8年度 特別区(東京23区)職員 経験者採用試験・選考案内【秋試験】」

申込の時点で書いた職務経歴書が、数か月後の面接の資料になります。合格する人は、面接で話したい経験を決めてから書類を書き、控えを手元に残しています。

④ 転職理由と志望動機が一本の筋になっている

合格する人の転職理由は、今の職場への不満ではありません。前職でやり切ったことと、行政で次にやりたいことが、一本の話としてつながっています。

この筋が通っていれば、「なぜ今の職場ではだめなのか」と深掘りされても崩れません。

⑤ 行政のやり方を学ぶ姿勢がある

経験者採用は即戦力を求めつつ、組織になじめるかも見ています。仙台市の評定項目にある「受容性・協調性」は、まさにこの点です。

合格する人は、「行政の仕事では自分は新人です。まず学び、そのうえで経験を生かします」と、順序を間違えずに語ります。

経験者採用で落ちる人の特徴:合格する人との5つの違い

落ちる人には、はっきりした共通点があります。落ちる人と合格する人の差は、経歴の華やかさではなく、経験の「使い方」です。

落ちる人合格する人
筆記の勉強に時間の大半を使い、面接の準備は一次の合格発表の後配点の大きい論文・書類・面接に、申込の前から時間をかける
職務経験の実績を並べるだけで、受験先の仕事と結びつかない経験を、受験先の施策や評価の観点と結びつけて話す
「民間の感覚で役所を変えたい」と語る行政のやり方を学んだうえで、経験を生かすと語る
転職理由が、今の職場への不満や「安定」前職でやり切ったことと、行政で次にやりたいことが一本の筋
職務経歴書を深く考えずに書き、面接で話が食い違う職務経歴書に書いたことを、深掘りされても答えられる
経験者採用で落ちる人と合格する人の5つの違い

特に見落とされやすいのが、3つ目です。「民間の感覚で役所を変えたい」という言い方は、意欲のつもりでも、面接官には「組織のやり方に従わない人」と映ります。

行政には、法律や予算、議会の手続きなど、民間企業とは違う決まりがあります。その決まりの中で経験をどう生かすかを語れる人こそ、合格に近い人です。

2つ目も、経験豊富な方ほど陥りがちです。実績が多い人ほど、面接で実績を並べることに時間を使い、受験先の仕事との結びつきを話す時間がなくなってしまいます。

段階ごとに見る合格する人:書類・筆記・論文・面接で何をしているか

経験者採用は、段階ごとに問われるものが違います。合格する人は、どの段階でも「職務経験」を軸にして準備しています。

段階主な自治体の例合格する人がしていること
書類(職務経歴書・エントリーシート)特別区は申込時に職務経歴書を入力。東京都は第1次で書類選考面接で話したい経験を決めてから書き、控えを残す
筆記(教養・SPI3)特別区は教養が一定点未満なら論文を採点しない。東京都・横浜市はSPI3足切りを越える点を確実に取り、時間をかけすぎない
論文特別区は第1次の合否が論文の成績で決まる職務経験を具体的に書く型を作り、第三者の添削を受ける
面接特別区は人物・職務経験・職務に関連する知識を見る。横浜市は面接が600点話す材料を用意し、深掘りまで答えられるようにする

※ 特別区は令和8年度秋試験、東京都・横浜市は令和8年度の受験案内・選考案内によります。

書類と論文は、どちらも「自分の経験を文章で伝える」試験です。合格する人は、書類で書いた経験を論文や面接でも使い回せるよう、話す材料を早い段階で決めているのが特徴です。

面接では、職務経歴書に書いた経験が何段階にも掘り下げられます。面接で聞かれる質問と答え方は、経験者採用の面接質問30選の記事で詳しく解説しています。

経験者採用に落ちたら:不合格の段階と原因を確かめて立て直す

一度不合格になっても、それで終わりではありません。不合格になったら、まず「どの段階で落ちたか」と「何が足りなかったか」を確かめてください。

経験者採用に落ちたときの立て直しの手順(落ちた段階・得点と順位・原因・準備の仕方)
  1. 落ちた段階を確かめる(書類・筆記・論文・面接のどこか)
  2. 得点や順位を確かめる(通知の制度があれば利用する)
  3. 原因を一つに絞る(書き方か、話す材料か、深掘りへの備えか)
  4. 準備の仕方を変える(添削や模擬面接など、第三者の目を入れる)

特別区のように、希望すれば総合得点と順位を通知してもらえる自治体もあります。こうした制度があれば必ず利用し、合格まであと何点だったのかを確かめましょう。

第1次で落ちた場合は、論文や書類の書き方を見直します。第2次の面接で落ちた場合は、話す材料と、深掘りへの備えを見直してください。

最も避けたいのは、不合格の原因を確かめないまま、同じ準備の仕方で翌年も受けることです。結果を変えるには、準備の仕方を変える必要があります。

また、東京都の経験者採用選考のように、年に複数回実施する試験もあります。日程が重ならない範囲で、受験先を広げることも検討しましょう。

合格する人の準備:試験全体を見渡し、面接は第三者に見てもらう

合格する人は、自分一人の目だけで準備を終えません。試験全体の流れをつかんだうえで、論文と面接は第三者に見てもらってから本番に臨んでください。

論文や面接は、自分の癖を自分で見つけにくい試験です。添削や模擬面接を一度でも受けると、自分では気づかなかった「伝わっていない部分」が分かります。

面接の練習をどこで、どう進めるかは、社会人の面接練習の記事で詳しく解説しています。

試験全体の対策を一冊で見渡したい方に、筆者が勧めるのは参考書『公務員教科書「社会人採用試験」完全攻略テキスト』(翔泳社)です。論文・面接・集団討論・プレゼンテーションまで、経験者採用で問われる試験をひととおり確かめられます。

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参考書で型をつかんだら、自分の職務経験に置き換えて書き、話す練習に移りましょう。読むだけで終わらせないことが、合格する人との差になります。

経験者採用の合格についてよくある質問

40代・50代でも、経験者採用に合格できますか。

受験資格の年齢の範囲内であれば、受験案内の上で年齢による扱いの違いはありません。例えば令和8年度の特別区(秋試験)は昭和40年4月2日以降に生まれた人、横浜市(社会人)は1964年4月2日から1996年4月1日までに生まれた人が対象です。

面接で見られるのは年齢ではなく、職務経験を受験先でどう生かせるかです。経験が長い分、話す材料は多くあります。

予備校に通わないと、合格できませんか。

独学で合格する方もいます。ただし、論文・書類・面接は、自分の癖を自分では見つけにくい試験です。どこまで独学で進め、どこで第三者の手を借りるかは、独学か予備校かの記事で整理しています。

何度受けても合格できない場合は、どうすればよいですか。

まず、毎回どの段階で落ちているかを確かめてください。同じ段階で落ち続けているなら、その段階の準備の仕方に原因があります。

得点や順位を通知してもらえる試験であれば、その結果をもとに、足りない部分を一つに絞って準備を変えましょう。

まとめ

  • 経験者採用は面接で落とされる試験。横浜市(令和8年度春実施枠・事務)は、プレゼンテーションと面接に進んだ104人のうち、最終合格はわずか19人
  • 合格する人は、配点の大きい論文・書類・面接から準備し、職務経験を受験先の仕事に結びつけて語れる
  • 書類と面接の話が一貫し、転職理由と志望動機が一本の筋になっている
  • 落ちる人との差は、経歴の華やかさではなく、経験の使い方
  • 不合格になったら、落ちた段階と原因を確かめ、準備の仕方を変える

経験者採用は、これまでの社会人生活のすべてが材料になる試験です。合格する人と落ちる人の差は、その材料を受験先の仕事に結びつけられるかどうかにあります。

受験案内の配点と評価の観点を確かめるところから、今日始めましょう。

なお、面接の配点や評価の観点、面接カードの書き方、準備の手順まで含めた面接対策の全体像は、下記の記事で詳しく解説しています。

【公務員】経験者採用の面接対策|配点・評価の観点と準備の手順【公務員】経験者採用の面接対策|配点・評価の観点と準備の手順経験者採用の面接の配点と評価の観点、頻出25問、志望動機・転職理由・自己PRの作り方、準備の手順を解説。komuin-keikensha.com
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合格する人と落ちる人の差は、才能ではなく準備の仕方です。今日から準備の仕方を変えていきましょう。応援しています。